室蘭市 様事例_よりシンプル・安全なファイル受け渡しで業務効率が向上 日常業務を効率化、DX推進へ
この記事の内容
よりシンプル・安全なファイル受け渡しで業務効率が向上
日常業務を効率化、DX推進へ
室蘭市では、2016年の自治体情報セキュリティ強化(3層分離)を機に、LGWAN接続系とインターネット接続系間での安全なファイル受け渡しを行うための製品としてソリトンシステムズのFileZenを導入。以降、長く活用してきたが、ハードウェアの更改時期を迎えシステムの入れ替えを検討することとなった。室蘭市役所 企画財政部 ICT推進課の澤田将氏は、その経緯を次のように話す。「後継機の選定にあたって調査を行い、複数社の製品で、比較検討を行いました。最終的に操作性や安全性、価格面など総合的な評価から、従来製品の新モデルであるソリトンシステムズの『FileZen S』が魅力的と感じました。」
自治体の3層分離は情報セキュリティの有効な手法である一方、異なるネットワーク間でのファイルのやり取りに不便が付きまとう。FileZen Sは、従来製品のFileZenのセキュリティ機能はそのまま継承し、「自分から自分」へのファイル受け渡しをシンプルに実行できるよう改良されている。
澤田氏は、採用の決め手となったポイントについて「FileZen Sは従来製品よりも操作性が向上し、より直感的なシンプルな使い心地で、職員の業務効率をさらに高める期待がありました。また、統合Windows認証が利用できることで、ユーザーの利便性も向上できます。さらに管理面ではAD(Active Directory)との連携で、独自にユーザーを管理する必要がない点も魅力でした。」と語る。
加えて同市は今回、ファイル無害化(サニタイズ処理)のためのソリューションとして、FileZen Sと自動連携する「OPSWAT(OPSWAT MetaDefender Core)」を採用した。この理由について、澤田氏はこう説明する。「2020(令和2)年12月に総務省から『地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』が示され、ファイル無害化(サニタイズ処理)に関する定義が明確になったこともあり、かねてから対応策を検討していました。FileZen Sと自動連係する製品のうち、当市では米国国土安全保障省で採用されるなど確かな実績があり、特別価格で提供され低コストで導入できるOPSWATを選定しました。無害化対応と謳っていても、そのためにPDFへ変換されてしまうといったものではファイル本来の機能が損なわれ、業務に支障をきたします。FileZen Sは多様なファイル形式や古いバージョンで作成されたOfficeファイルにも対応できる点が、評価のポイントでした。」
シンプルな操作性でユーザーへの展開もスムーズ、業務効率も向上
こうして選定されたFileZen Sは、2021年10月より利用が開始された。対象となるユーザーは、市役所職員約520名に、特別行政、公営企業会計なども加えた計約1,100名。澤田氏は展開時の印象を「AD連携機能で利用者の登録も簡単に行え、通信の設定変更を除けば導入の手間はほとんどありませんでした。利用する職員からも当初は操作に関する質問が寄せられましたが、FileZen Sの操作画面は直感的に自分がやりたいことがすぐに理解できますし、多くの職員が日々行う業務処理であることもあり慣れるのも早く、皆さんすぐに使いこなせるようになりました。」と語る。澤田氏はソリトンから提供されたマニュアルを基に、職員の業務でよく行う処理ごとに解説した簡易的なマニュアルを作成、イントラネットに掲載して所内の活用を促進している。
澤田氏は、FileZen Sの具体的な活用メリットについて次のように話す。まずは操作性について。FileZen Sはネットワーク分離を画面イメージで再現しており、使い勝手に加えて利用者に情報セキュリティを適切に意識させる画面設計となっている。「FileZen S は画面遷移なしに一画面でファイルのアップロード、ダウンロードを行うことができます。我々の環境では通信帯域との兼ね合いでブラウザの読み込みに時間がかかることもあり、画面遷移のあるなしは業務効率に大きく関わります。また、これまでも複数ファイルをまとめてアップロードする機能があるのに画面レイアウトの影響かユーザーにあまり認知されず、『1ファイルずつアップロードしなくてはならず不便』との声がありました。FileZen Sではこの点も解消され、直感的にドラッグ&ドロップで複数ファイルをまとめて処理することが可能となり、好評です。」
統合Windows認証で利便性が向上
操作性に加え、好評なのが統合Windows認証による利便性の向上だ。「旧システムでは、利用時の認証に静脈認証によりID/パスワードを送信しログインできるようにしていましたが、冬場や血管の細い方がうまく認証ができないことがあり、苦情が多かったのです。新システムでは、統合Windows認証によりPCにログインすれば、FileZen S利用時はID/パスワードの入力を省略し利用できるようになり、利用頻度の高いシステムだけに非常に喜ばれています。」また、以前は認証の不便さのため、システムにログインしたまま利用する状態も発生していたという。「FileZen Sではインターネット接続系とLGWAN接続系両側から同時アクセスすることができない安全な設計になっているため、セキュリティ面も強化できました。」
ファイル無害化とマルチスキャンでセキュリティを強化
そして今回、新たに導入したOPSWATによるファイル無害化について。「当市は上流の北海道自治体情報セキュリティクラウド、西いぶり広域連合サービス基盤でウイルスチェックされたファイルを扱うのですが、万一の際の責任は市が負うことになります。そのため、独自のファイル無害化の仕組みが必要でした。FileZen S と自動連係するOPSWATは、ファイル無害化に加えて複数のマルウェア対策エンジンで分析を行うマルチスキャン機能も提供されるため、安心して業務を遂行できます。」
管理面についても「FileZen S では、ユーザーは自身のファイルのやり取りの履歴が、管理者は誰が、どのIPアドレスからファイルを取得し、いつ申請、承認されたかの履歴が一覧で確認できます。また、ユーザー管理もADとの連携で、アカウントの自動登録、更新、削除にも対応するため、手間がかかりません。」と高評価だ。
安定した運用性能、手厚いサポートにも満足
利用開始から約半年が経過したFileZen Sは運用も安定し、トラブルもなく活用されている。澤田氏はこの間のソリトンの対応について、「ソリトンの営業とエンジニアの方々が提案時のヒアリングから導入まで手厚くサポートしてくれて、満足しています。導入当初、当方で使用しているPCの画面解像度が低く画面の一部が見切れて操作困難な不具合がありましたが、指摘するとすぐに対応していただけました。構築時も細かくアドバイスいただき、関連ベンダーとの協業もスムーズでした。運用後も何かエラーが出るとサポートに問合せすれば1週間以内には確実に回答がもらえて、安心です。」と語る。
DX推進に向け、さらなる業務効率化を目指す
同市ではいま、総務省の自治体DX推進計画に沿って、業務システムの標準化や行政サービスのデジタル化など、住民の利便性向上のためのさまざまな取り組みを加速している。澤田氏は今回のFileZen S導入も、その足掛かりとして捉えているとして、ソリトンへの期待を次のように結んだ。「当市はDX推進のための専門組織もまだなく、有志で業務課題の改善について意見交換、模索している段階です。そうした新たな取り組みのためには日々の業務をいかに効率化するかが重要であり、今回のFileZen Sの導入も、その第一歩と捉えています。この製品が他の自治体でも多く活用されれば、我々の業務ならではの課題を解消する機能が実装される機会も増え、自治体全体が業務効率向上を図れると期待しています。ソリトンにはこれからも、セキュリティを軸に自治体DX推進を後押しする有用なソリューションの提供と、ユーザーに寄り添う共創に期待しています。
※インタビューの内容は、取材当時(2022年4月)のものです。
※掲載されている社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。